航空整備士の離職率ってどのくらい? 辞める人が多いって本当?

航空整備士の離職率ってどのくらい? 辞める人が多いって本当?

航空整備士の離職率ってどのくらい? 辞める人が多いって本当?

飛行機の毎日の安全運航を支えている航空整備士。

 

プロフェッショナルでカッコイイと憧れつつも「きつそう」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

  • 「3Kっていわれてるけど、本当...?」
  • 「自分の体力でついていけるだろうか...」
  • 「怖い人が多いんじゃないの?...」

航空整備士に興味はあるけど不安もあるというそんなアナタへ。

 

この記事では、某航空会社で整備にかかわる仕事を現役でやっている筆者が、航空整備士の良いところも悪いところも解説します!

航空整備士の離職率って高いの?

航空整備士の離職率って高いの?

「自分はこの仕事やっていけるかな?」と考えたときに気になるのが、離職率
しかし、航空整備士”だけ”に絞った離職率って、どの会社も公表していないんですよね。

 

そこで、筆者が独自のルートで入手した、大手傘下の某中堅エアラインのデータを紹介しましょう。
その航空会社の場合、2015〜2020年の6年間の3年以内離職率はそれぞれ、
15%、8%、2%、8%、3%、2%
だったとのこと。
年度によってばらつきがありますが、6年トータルで見ると 5.6% になるようです。

 

もちろん会社によって異なります。
この数字がそのまま航空整備士の離職率になるとはいえないのですが、ひとつの参考にはなると思います。

 

さて、この数字、高いと感じますか?それとも低いと感じますか?

 

比較のために、同じ航空系の他の職種の3年以内離職率を見てみましょう。
四季報やネットの情報などの情報をまとめると、

  • 大手航空会社の総合職では、0〜3%
  • CAやグラウンドハンドリングでは、20-30%

といった情報が出てきます。

 

体力勝負の肉体労働で離職率が高くなるイメージがある航空整備士。
たしかに、デスクワーク中心の総合職よりも離職率は高そうです。
しかし、専門性が非常に高く、難易度の高い資格を取ることで働き続ける人が多いというのもまた事実。
そういった意味では、離職率が高いといわれるCA・グラハンほど離職率は高くないというのも納得がいくのではないでしょうか。

 

ちなみに、厚生労働省が公表しているデータによると、「運輸業」の就職後3年以内の離職率は、おおむね30〜40%の状況がここ15年ほど続いています。
(参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html)

 

こうして見ると、航空整備士の離職率ってイメージほど高くないんですね!


航空整備士って大変? 辞めてしまう理由5選

航空整備士って大変? 辞めてしまう理由5選

同じ職場で同じ仕事を続けられるかどうかは、数字だけでは計れません。

 

ここでは、筆者の周りにいる航空整備士たちから実際に聞いた「整備士を辞めてしまった理由」をまとめて5つ紹介します。

 

やりたかった事と違った!

ひとくちに「整備」といっても、実際はいろんな分野に分かれています。
配属された先が、自分の憧れていた整備のイメージとかけ離れていた、というのはよくあるんです。

  • 「出発する飛行機に手を振るのが夢だったのに、ずっと格納庫(整備場)から出られない...」
  • 「飛行機に触りたかったのに、取り外したエンジンの整備ばかり...」

そんな理想と現実のギャップにショックを受けてしまうんですね。

 

ただ、このケースの場合、同業他社に移るだけで、整備士そのものは辞めないケースもよくあります。
たとえば、「出発する飛行機に手を振りたい」という人ならば、自社で格納庫を持っていないLCCに移るといった具合です。

 

 

それでも、やりたいことができずに「整備ってあんまり面白くないかも」という印象を持ってしまった人は、別の業界へ去っていってしまうんです。

行きたくない場所に転勤を命じられた!

特に大手航空会社の場合、日本全国、場合によっては海外にも整備拠点を持っています。
整備士だって会社員。転勤を命じられることはあります

 

「どうしてもこの土地に住みたい」という人以外はピンとこないかもしれませんが、転勤を機に、会社を移る、整備士を辞めるというのは意外とよくあるんです

 

筆者の知り合いにも、
「羽田に転勤って言われたから前の会社辞めたんや!ワシは一生大阪に住むで!」
なんて人がいました。

 

「整備の資格を持っていれば、他の航空会社や整備会社に雇ってもらえるだろう」と強気に辞める人も。
ただし、自分の住みたい土地で整備をやっている会社があれば、の話ですが...

試験勉強がつらい!

航空整備士の多くが目指すのが「一等航空整備士」。
整備をした飛行機が「実際に飛ばしても問題ないか」の判定をすることができるようになる国家資格です。

 

この資格を取得するには、筆記試験・口述試験・実技試験があるのですが、、、
これがとにかくツライ!!!

 

学科試験だけで「2000時間は勉強しろ」なんて言われます。

  • 夜勤明けでフラフラになりながら会社に残って勉強する人
  • 休日に整備場の隅で、廃棄になる部品を使って実技の練習をする人
  • 先輩につきっきりで口頭試問の練習をしてもらう人...

あまりのストレスで鬱病になってしまった人もいる、というのは業界では有名です...

毎日同じ仕事でつまらない!

飛行機の整備って、実は整備士が自分で考えてやるわけではないんです。
「え!?」と思うかもしれませんが、全てマニュアル通りにやらないといけません。

 

あなたがお客さんなら、どちらの飛行機が安心できますか?
「私の知識と経験で整備しました。私を信用してください!」
「航空機メーカーの整備マニュアルに従って、きちんと整備しました。」
・・・後者ですよね。

 

しかし、機械が好きで、車いじりが趣味といった人の中には、

  • 「自分の好きな通りにやれない」
  • 「マニュアルの言いなり」
  • 「毎日同じ作業の繰り返し」

と感じてしまい、耐えられずに去っていく人もいます。

体力がもたない!

整備士の業務は体力が必要です。
重い部品を運んだり、狭いスペースに長時間こもったり。
夜勤もあるので、生活リズムも変則的になりがちです。

 

特に50代以降の方の中には「この歳になるとしんどい」という人もちらほら。

 

また、ぎっくり腰になって泣く泣くやめざるを得なくなった、なんて人もいます...


航空整備士になるのはやめた方がいい?

航空整備士になるのはやめた方がいい?

ここまで読むと、「航空整備士はやめた方がよさそう」と思うかもしれません。
しかし、意外となんとかなったりもしますよ。

 

 

夜勤が大変そう。生活が不規則になりそうで心配...

ズバリ、数か月もすれば慣れます。
最初はつらいですが、しばらく勤務して調整方法が身につけば、自分なりの生活リズムが確立できます。
調整に失敗して遅刻するのは新人の一部だけですね。

 

体力に自信がない。重い部品とか運べるかな...

整備は必ずチームを組んで仕事をします。
ですから、体力に自信がなければ、仲間のサポートを受ければ大丈夫です。

 

むしろ、「ひとりで無理せず、チームで協力して作業しろ」と指導されます。

 

さらに、続けるうちに筋力・体力もついてきます。

 

筆者もかなり非力な方ですが、半年後には30kgほどのタイヤを一人で運べるようになりました!

体育会系のイメージ。怖い先輩いない?暴力・パワハラは?

「昔は怒られるより先に殴られた」なんて話は有名ですが、今は職場のコンプライアンスが整備されてきています。
ですから、そんなに心配しないでよいと思います。

 

ただ、昔ながらの職人気質の人が一部残っているのも事実。
筆者も工具で殴られたことがあります。(ヘルメットをかぶっているので全く痛くはありません。)
これは愛のムチと思って耐えつつ、仲間同士で愚痴って乗り切りましょう。

 

 

それでも、班全員が恐ろしい人という事もないですし、優しい人だって沢山いますよ!

やっぱり3K(きつい・汚い・危険)?

まず、整備の現場はたしかに危険です。
高所作業、重い部品、可動部位に巻き込まれるリスク...
しかし、だからこそ、危険を予知して行動するよう、本当に徹底して教育されます。
定期的に危険予知訓練が行われたり、安全作業に関しては入社直後から厳しく叩き込まれるんです

 

そして、きついことに関してはすでにお話しした通り。
きつい事もありますが、チームでフォローし合ったり、体力がついてきて乗り越えられるようになったりします

 

なお、「汚い」に関しては、仕事の性質上どうしようもないので諦めましょう。
手が油まみれになっても、それは仕事を頑張った勲章です!!


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まとめ

まとめ

ここまで、航空整備士の大変なところをいくつか紹介しました。

 

しかし、一見つらそうに思えても、慣れてくれば大したことないことも沢山あります。

 

「自分ひとりではなくチームで仕事をする」のがこの業界。
誰かができないことは、みんなでフォローし合って仕事をしています。
一生懸命やっていれば、必ず支えてくれる人がいます。

 

何より、航空整備士というのは、とても夢のある仕事です。
−自分が整備した飛行機が空を飛ぶ−
この喜びは何事にも代えがたいものです。

 

ここまでの話をまとめると、

  • ・航空整備士の離職率は、航空会社によって変わるが、さほど高くない
  • ・やめてしまう理由は5つ。

    1. 思い描いていた仕事内容との違い
    2. 希望と異なる勤務地
    3. 資格試験のための勉強のつらさ
    4. 体力の限界
    5. マニュアルに縛られた自由度の低さ

  • ・つらいことも、慣れやチームワークで乗り越えられる場合も多い
  • ・航空整備士になってやりたいことがあるなら、思い切って挑戦してほしい

 

この記事を読んで、航空整備士にチャレンジしようと思った人も、やっぱりやめておこうと思った人も、人生一度きり。

 


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