航空整備士に将来性はある? キャリアプランや年収の伸び方教えます
科学技術がどんどん進み、近年ではAI (人工知能)がいろんな場面で活躍するようになってきましたね。
「将来AIに取って代わられる職業」なんて話題を耳にしたことがあるかもしれません。
それに伴い、
- 航空整備士という職業も近いうちにAIに取って代わられるのか
- AIに取って代わらないとしても、そもそもこの仕事は安泰なのか
- どんな風にキャリアアップしていくのか
- 年収も上がるのか
など気になってしまいませんか?

ご自身の将来を考える参考になれえば嬉しいです。
それでは、説明していきますね。
航空整備士の将来性
結論から言うと、航空整備士の将来は安泰な部類に入ると思います。
その理由は以下の3つです。
- 航空整備士の需要はこれからも増える
- 航空業界が不況でも一定数の整備士は必要
- AI に取って代わられるのはかなり先
順番に詳しく解説しますね。
航空整備士の需要はこれからも増える
少し古いデータになりますが、国土交通省が公開している資料によると、2030年に必要と予測される整備士の数は、
- 世界的に2010年の2倍
- アジア・太平洋地域では2010年の3.5倍
だそうです。(参考: https://www.mlit.go.jp/common/001031264.pdf)
昨今は新型コロナウイルスの影響で航空産業の需要が落ちているのは確かですが、これは一時的なものと考えてよいでしょう。
過去にも2001年の米国同時多発テロや2003年のSARS蔓延など、航空業界全体で需要が落ち込んだ時期はありました。
しかし、その後しっかり回復して成長を続けている産業です。
今の騒動が落ち着けば、再び飛行機での移動、そして航空整備士の需要も増えていくでしょう。
仮に上の数字ほどの需要がなくなったとしても将来的に需要が減っていくことは考えにくいですし、毎年一定数の定年退職者が出ることを考えれば、毎年一定数の整備士が新たに必要とされるのは間違いありません。
航空業界が不況でも一定数の整備士は必要
航空整備士の需要が必要なことは説明した通りですが、「もし整備士として就職しても、また航空業界が不況に陥った時はリストラされるのでは?」といった不安を持つかもしれません。
しかし、その点は心配は無用です。
飛行機が存在する限り、整備士の仕事はそう簡単になくなりません。
飛行機での移動の需要が落ち込めば航空会社は減便しますよね。
この場合、パイロットやCAは仕事がかなり減ります。
その一方で、飛んでいなくてもやらないといけない整備作業というのはたくさんあるので、整備士の仕事量はそこまで大きく減りません。
詳しくはこちらの記事で解説していますのでチェックしてみてください。

起こるかどうかもわからない事はあまり心配しない方がいいと思います。
AI に取って代わられるのはかなり先
最近は「将来AIに取って代わられる職業」といった話題を耳にしたことがある方も多いと思います。
「航空整備士もAIに仕事を奪われるのでは?」と心配になるかもしれませんが、その可能性はかなり低いでしょう。
航空機の自動操縦に関しては、かなり研究が進んでいます。
たとえば、世界最大手の航空機メーカーのひとつであるエアバス社では、完全自動の離着陸テストを500回以上実施したと発表していて、自動操縦技術はかなり現実的になってきました。
しかし、自動整備に関しては全く話が出てきません。
整備士よりも先にパイロットの方が要らなくなりそうですね。
たしかに整備の業界でもIT化は進んでいます。
飛行機のフライトデータを無線でダウンリンクし、過去の不具合統計データと突き合わせて分析し、故障の予兆が見られる部品を壊れる前に交換するといった取り組みも行われています。
しかし、航空機は非常に複雑な設計で、一言で「整備」といっても、やる事や必要な道具などは多岐にわたります。
エンジンのような巨大な部品の交換もあれば、人ひとりがギリギリ入れるコンピュータ室での細かい作業もあります。
AIに整備をやらせようとするなら、こういった様々な作業のそれぞれに対応できるロボットをいくつも用意しなければならないはずですが、そんなスペースと経済力を持った航空会社が世界にどれだけあるでしょうか...?
そんなわけで、整備士はそう簡単にAIには取って代わられない、しばらく安泰な職業と言ってよいでしょう。
航空整備士のキャリアプランのイメージ
まず、一般的な整備士のキャリアパスをご紹介します。
使用事業者(ジェネラルアビエーション)などは会社によるところが大きいので、ここではいわゆる「エアライン」(定期便を運航している航空会社)のキャリアのイメージを見てみましょう。
1年目: 訓練生
- 先輩整備士と行動し、整備のノウハウを学ぶ。
- 整備作業の補佐業務がメイン。(マニュアルや部品の準備、機体や部品の清掃、作業する先輩の後ろでライトを照らすなどの雑務)
- 社内資格の取得に向けた勉強と実技の訓練も。
2年目〜7年目前後: 整備士
- 実機の整備作業を行う社内資格を取得し、実際に飛行機の作業ができるようになる。
- 作業は基本的に一等航空整備士の先輩の監督の下で行う。
- 単独で作業を進めることもあるが、最終確認は一等航空整備士資格を持つ整備士から受けなければならない。
- 一等航空整備士の試験に向けた勉強を並行して進める。
7年目前後以降: 一等航空整備士/確認主任者
- 国家資格である「一等航空整備士」を取得
⇒全ての作業を自分で行うことができるようになる。
- さらに社内で教育・訓練・試験を受けて「確認主任者」の資格を取得
⇒作業の適切性の最終確認ができ、航空日誌にサインをして飛行機をリリースできる
- 複数の機種を持つ航空会社であれば、2機種・3機種と資格を増やすことも可能。
大きな境目になるのが一等航空整備士の資格を取るタイミングです。
7年目前後と書きましたが、早い人で5年以内に取ってしまう人もいますし、逆に10年以上取れない人もいます。
給料にも関わってくるので、頑張りたいところですね。
整備士から整備「スタッフ」になることも
エアラインで整備に携わるのは整備士だけではありません。
- 部品の調達をする人
- 整備の計画を立てる人
- 不具合対策や整備プログラムを考える人
- 品質を管理する人
など、現場ではなくオフィスで働く「整備スタッフ」もいます。
整備スタッフはJALやANAなどが技術系総合職(企画職)といった呼び方で大卒・院卒や既卒者を募集していることがあります。
はじめは整備のことを知るために現場で整備士として経験を積み、その後にスタッフとしてオフィスに呼び戻されます。
1年目の訓練生が終わってすぐスタッフになる人もいれば、一等航空整備士を取得して数年間整備士として働いた後で異動するパターンもあり、異動時期は一概には何とも言えません。
また、特にLCCなどは専門学校卒・大学(院)卒をまとめて整備士として採用し、その後学歴関係なく本人の適正で整備スタッフに転属させる会社もあります。
一般的な整備士のキャリアパスは上で説明した通りですが、このように整備士の道を外れてスタッフになるパターンもあることは覚えておきましょう。
どうしても整備士であり続けたい、あるいはスタッフになりたいという希望があれば、転属の可能性があるかどうかは求人情報でよく確認してくださいね。
航空整備士の給料UPのポイントは「資格」!
航空整備士として多くの給料が欲しいのであれば、とにかく必要な資格を取ることです。
勤続年数よりも資格の有無が評価に大きく反映されます。
特にエアラインならば一等航空整備士を取得したタイミングで給料が跳ね上がるので、資格を取るのが早ければ早いほど生涯年収のUPが期待できます。
実際にどのくらいの給料が貰えるのかも含めて、ぜひこちらの記事も読んでみてください。
まとめ
この記事では、航空整備士の将来性とキャリアパスについて解説してきました。
最後にもう一度整理しますね。
@航空整備士の将来性
- 航空産業の需要はこれからも伸び、整備士の数も今より必要になる
- 一時的に航空需要が落ち込んだとしても整備の仕事がなくなることはないので、パイロットやCAと比べて不況下でも安泰。
- AIによって整備士の仕事が取って代わられる可能性は低い。
A航空整備士のキャリアと給料
エアライン整備士の場合、一般的には以下のキャリアを辿ります。
- 1年目: 訓練生
- 2〜7年目: 整備士として整備業務に従事
- 7年目以降: 一等航空整備士・確認主任者資格を取り、全ての整備作業・確認行為が可能に。
一等航空整備士になれるまでの年数は人によっても大きく異なりますが、この資格を取得したタイミングで給料が跳ね上がります。
※給料の目安はこちらの記事で詳しく解説しています。
どんな職業でも未来のことはわかりませんが、ここまでで説明した通り、航空整備士の未来はかなり明るい方だと思います。
また、自分の努力次第では早くから給料をアップさせることができるのも魅力的ではないでしょうか。
もし航空整備士になってみたい考えている人はぜひチャレンジしてみてください!
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