【暴露】航空整備士の給料はいくら?年収安すぎって本当?
航空整備士を目指す人にとって、仕事の内容や大変さなどの他、給料がどのくらいかも気になるところではないでしょうか。
- 「実際のところいくらもらえるの?」
- 「ベテランになれば高い給料がもらえるの?」
- 「ネットで給料安すぎって言ってる人がいたけど本当?」
などなど、生きていく上で必要だからこそ考えてしまうお金の話。
せっかく憧れの整備士になっても、給料が安すぎて生活できなかったら仕事を続けられないですもんね。
航空整備士としての年収をアップさせるための鍵についても解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
それでは、順に見ていきましょう。
航空整備士の給料はいくら?
まずは、実際の航空整備士の給料を見てみましょう。
航空各社いずれもデータを細かく公開しているわけではないので、就職・転職サイトなどの情報から目安をまとめてみました。
エアライン |
ジェネラルアビエーション(使用事業者) |
官公庁、自衛隊など | |
〜20代前半 | 250〜400万円 | 250〜400万円 | 300〜400万円 |
20代後半 | 300〜600万円 | 300〜500万円 | 300〜500万円 |
30代 | 400〜700万円 | 300〜600万円 | 500〜600万円 |
40代 | 500〜1,000万 | 400〜700万円 | 500〜700万円 |
50代以上 | 600〜1,000万円 | データなし | データなし |
※表内の金額はいずれも年収
上の表で、20代前半までは300万円代におさまっているのに対して、20代後半以降になるとかなり金額にバラつきが出るのがわかります。
これは、20代後半あたりから、一等航空整備士などの資格を取得する人が出始め、その評価が反映されるからです。
さらに、30代以降にもなると、JALやANAのように多くの機種を保有している航空会社では、複数の機種のライセンスを取得する人が現れ、資格手当の上積みを増やしていくようです。
一方で、資格を取れない、あるいは多く取得しないと給料はさほど上がっていかないのです。
ただし、本人の自称なので、あくまでも参考程度にとどめておいてくださいね。
- 大手エアライン / 50代 / 一等航空整備士(5機種) / 確認主任者 ⇒ 1,000万円以上
- 大手エアライン / 50代 / 一等航空整備士(3機種) / 確認主任者 ⇒ 1,000万円くらい
- 大手エアライン / 40代 / エンジン整備の専門社内資格あり ⇒ 700〜800万円くらい
- 国内LCC / 30代 / 一等航空整備士(1機種) / 確認主任者 ⇒ 650万円くらい
- 国内LCC / 20代 / 一等航空整備士(1機種) / 確認主任者資格未取得 ⇒ 500万円代後半
- 国内LCC / 20代 / 一等航空整備士資格なし ⇒ 300万円代後半
後で詳しく解説しますが、資格の有無で給料が大きく変わっていることを頭の片隅に置いておいてください。
整備士の給料安すぎって本当?
さて、整備士の給料について何となくイメージが湧いたのではないでしょうか。
いくつかの視点で整備士の給料が高いのか安いのかを考えてみましょう。
初任給は?
初任給については上の表の「20代前半」の年収の下限あたり、つまり年収250〜300万円くらいの範囲に収まると考えられます。
以下は、ある年の某大手航空会社系列の整備専門会社の新卒初任給の例ですが、他業界と比べて、特別高くもなく安くもない金額のようです。
- 大卒/大学院卒:22.5万円/月 ⇒ 年収270万円 (ボーナス・諸手当除く)
- 専門学校卒:19.9万円/月 ⇒ 年収238万円 (ボーナス・諸手当除く)
はじめのうちはあまり満足できる額ではないかもしれませんが、数年経験を積んで若いうちに資格を取得すれば、大幅に給料が上がるチャンスもあります。
これは他の業種に無い魅力かもしれませんね。
日本全体と比べると?
次に、日本の平均年収と比べてみましょう。
厚生労働省の統計によると、大学・大学院卒の平均年収はだいたい下の表の通りです。
年代 | 日本全体の平均年収 |
20代前半 | 約230万円 |
20代後半 | 約260万円 |
30代 | 約300〜360万円 |
40代 | 約400〜460万円 |
50代以上 | 約510万円 |
(参考: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2018/dl/13.pdf)
これと見比べると、整備士の年収はどの年代でも少なくとも日本の平均年収よりは高いようです。
上の表は、一般的に年収が高い部類に入る大卒・院卒のものですが、整備士に多い専門学校卒の人でもそれより高い収入を得られるというのは悪くない話と感じられるのではないでしょうか。
仕事の大変さと給料のバランスは?
整備士の給料が日本の平均より高いことは分かりましたが、その一方で実際に整備士として働く人の中には、額面だけではわからない不満を持っている人も少なからずいます。
詳しくはこちらの記事で解説していますが、航空機の安全を担うという大きな精神的プレッシャー、シフト勤務や労働環境による肉体的な負担を考えると、割に合わないというわけです。
ですから、もしこれから航空整備士として就職・転職しようと考えている方は、給料の額だけで判断しないことをオススメします。
その逆に、整備の仕事が好きで、仕事が「こんなにやりがいのある仕事をしてお金までもらえるなんて!」と言う人もいます。
給料UPの秘訣は「資格」にあり!
さて、ここまでの解説でも少し触れていますが、航空整備士の給料は、資格が重視されます。
航空機の整備を行うには、専門の知識とスキルが必須で、資格の有無によって携われる作業の範囲も大きく変わってきます。
ですから、若くても資格をたくさん持っていて多くの作業ができる人は給料が高くなり、その逆もまた然りというわけです。
航空整備士も他業界・他業種と同じく、年齢が上がるにつれて給料も上がるのが一般的ではありますが、それ以上に資格手当の上積みが大きくなっています。
民間エアラインでいえば、給料UPを確実にするなら、次の2つの資格は必須でしょう。
いずれも実務経験が必要なので、普通は入社後に専門の養成訓練を受けた後に取得することになります。
@一等航空整備士
整備をした航空機が安全性基準を満たしているかの確認行為を行う資格です。
この資格がなくても整備作業自体はできますが、その作業が法令などの基準をクリアして適切に行われたかの最終判断・確認ができるのは一等航空整備士だけです。
航空機の機種による限定があり、たとえばボーイング777型機の一等航空整備士資格を持っているからといって、ボーイング737型機の整備をすることはできません。
他の機種も整備したければ、機種ごとに試験をあらためて受け、限定を解除していかなければなりません。
A確認主任者
平たく言えば、「この航空機はきちんと整備されています」と航空日誌(Flight Logbook)にサインをして、飛行機を飛ばすことができる資格です。
一等航空整備士の中でも、各航空会社のルールに則った教育・訓練・試験を受けて「確認主任者」として認められた整備士だけが、最終的に飛行機にGOサインを出せます。
<補足>
航空機が基準通り安全である(「耐空性がある」といいます)という最終確認を行うのは、実は国土交通大臣と航空法で定められているのですが、日本中の航空機を大臣ひとりで毎日確認するなんて当然できません。
そこで、航空会社・整備会社が品質管理制度などの基準をきちんと満たしていれば、大臣がその会社を「認定事業場」として認め、その認定事業場の中で確認主任者として任命された人が国土交通大臣の代理として、耐空性の確認行為を行うのです。
まとめ
最後に、この記事をおさらいしましょう。
航空整備士の給料はだいたい以下の表の通りです。
スキル・経験がものをいう職業なので、とにかく資格が重視され、資格の有無で給料の額に大きな差が出ます。
民間エアラインならば、入社後に訓練を受け、一等航空整備士・確認主任者の資格を取得したタイミングで給料が跳ね上がります。
- 〜20代前半・・・年収300〜400万円
- 20代後半・・・年収300〜600万円
- 30代・・・年収300〜700万円
- 40代・・・年収400〜1,000万円
- 50代以上・・・年収600〜1,000万円
全国平均と比べると比較的高いですが、肉体的・精神的な負担の大きな仕事であるため、「割に合わない」という不満を持っている現役整備士も多くいます。
もし航空整備士としての就職・転職を考えている人は、給料の額だけで判断しないように気を付けましょう。
以下の記事もぜひ参考にしてくださいね。
ご参考になれば嬉しいです。